求人広告には、必ず記載しなければならない必須項目があります。厚生労働省のサイトには、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しなければならないと記載されています。求人掲載前にあらかじめ確認しておきましょう。
- 業務内容・仕事内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 就業時間・休憩時間
- 休日・休暇
- 時間外労働
- 賃金
- 加入保険
- 受動喫煙防止措置
- 募集者の氏名・名称(企業名)
賃金
賃金=給与・報酬については、求職者からの企業に対する信頼につながる重要な部分でもあります。求職者との信頼を保てるよう、慎重に検討し、下記のポイントを押さえた表記をしましょう。
ポイント①給与・報酬の「最下限額」を明記する
賃金・給与に関する項目には、今回採用する方に適用される給与・報酬の「最下限額」を明記しましょう。最下限額を記載しないと法律に抵触してしまう恐れがあります。
採用後に昇給した場合の金額を表記することはできません。今回の募集で採用する方に適用される給与・報酬金額を提示してください。
※原稿表示では「税込み」の金額を提示する必要がありますので、インボイス制度適用後の金額(税率適用)を反映することは控えましょう。
固定残業代の表記に注意
平成29年の改正において、「固定残業代」が給与に含まれている場合はPDFを参照していただき、原稿に反映する必要があります。
表記例:●時間の残業時間に対して、▲▲円支給 + ●時間残業分を超過した分は別途支給
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
ポイント②最低賃金を下回らないこと
また、最低賃金を下回らないとう注意しましょう。毎年10月1日より適用・更新される、各都道府県ごとの最低賃金を厳守しましょう。
割り増し支給についても最低賃金が適用される
残業代など割り増し分支給が必要な時間がありますが、その場合は最低賃金に割り増し分をかけた金額が最低賃金となります。
たとえば、残業代であれば、最低賃金×25%が残業代の最低賃金になります。
また、実働8時間超えの残業=25%割り増し に加え、2023年4月1日からは月60時間超えの残業に対しては50%割り増しとなりました。
就業時間・休憩時間
就業時間・休憩時間は、実働もしくは勤務時間の幅が明確に記載しましょう。求職者も仕事を探す際、「1日(週or月)の内、どの時間帯に、週でどのくらい(日数・時間)働きたいか」をある程度決めている場合が多いため、マッチングの面においても重要となります。
求人原稿に落とし込む際、違法に見えてしまう表記は求職者の信頼を損なう可能性があるため十分に注意しましょう。特に、休憩時間・残業時間などの記載を反映する際は、法律と照らし合わせて見直しをされると良いでしょう。
記載例
【NG例】
9:00~17:00(実動8時間) →始業~就業まで休憩が一切ないように見えてしまうためNGです。
【OK例】
9:00~17:00(実動7時間) →休憩がきちんと法定通りに付与されている時間の幅になっているためOKです。
【NG例】
残業をしてもらいます! →強制的に残業をさせてしまっているように見えるためNGです。
【OK例】
残業で稼ぎたいと思っている方歓迎! →働き方の提示になるためOKです。
休日・休暇
休日・休暇の項目も、求職者とのマッチングにおいて重要な項目となりますので、なるべく詳細を反映していただくことをおすすめします。
「週休2日」休みの表記に注意
法定では、0時~24時まで仕事がないお休みが週1日あることが前提となります。
「完全週休2日制」 → 毎週2日、必ず休める:振休や代休は当週中に付与
「週休2日制」 → 当週で2日休める週が、月のどこかの週で1週ある場合は「完全」はつきません。
求職者側は上記2つの違いが分かりにくいため、「週休2日制」の表記には、休める頻度などを併記し、誤解のない表記にすることを努めましょう。
【表記例】
週休2日制(土日祝)※月1回土曜出社あり
時間外労働
8時間以上の労働が発生する場合に「時間外労働」となります。また、残業や早出、夜勤・宿直が発生する場合は、応募者に伝える必要があります。応募者によっては「割り増しされる時間帯に働きたい」という希望もありますので、あながちデメリットではありません。
採用成功のためには、メリットとして感じてもらえる方を採用ターゲットにするなど、ターゲット設定から考えることが重要です。
業務内容・仕事内容
正社員・契約社員募集向け
正社員・契約社員の場合、将来どんなスキルアップ・キャリアアップができるか?を気にされる方が多いです。
入社してすぐにお任せする業務内容
↓
レベルに応じていずれお任せしていく業務内容
↓
将来的にお任せしたいこと/こうなってほしい将来像
といった順番で原稿に反映していくのがおすすめです。
また、新卒だと「成長できる会社かどうか」を重視する傾向が高く、中途の転職の場合だと「なりたい自分になれるか」を重視する傾向が高いです。任せる業務範囲や求めるレベルは採用した人を見て…という企業様も多いと思いますが、求職者の応募動機の醸成のため、あらかじめこちらから提示しておく方が良いでしょう。
アルバイト・パート・派遣募集向け
アルバイト・パート・派遣の募集で使用頻度が高いワードとしては、「簡単な仕事」「誰でもできちゃう」などですが、これだけではあまり丁寧とはいえません。簡単と思うレベルは人それぞれ。そのため、「◯◯と◯◯をするだけの簡単な仕事」などと、理由も付けて伝えるとより親切です。
「どういった仕事をお任せしていくのか」を具体的・詳細に示してあげることで、「◯◯だけだったらできそう!」「自分の強みや培ってきたことがつながりそう!」などと、即戦力となれる方へのアプローチにもつなげることができます。
試用期間
試用期間や研修が発生する場合は、求人原稿や労働契約書に記載する必要があります。
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
研修の最大期間(時間・回数でも可)
+
その間の労働条件で変動する部分について(変動がない場合も記載)
を明記しましょう。
表記例
・試用期間3ヶ月(労働条件に変動はなし)
・研修期間1ヶ月(既存店舗での勤務となります)・・・勤務地や給与、時間、待遇に変更がある場合は記載が必要です。
契約期間
契約期間の明記も必須です。2024年(令和6年)4月1日より、労働条件通知書には、契約期間の記載が明示しなければならない項目として定められます。有期雇用契約でアルバイト・パート・契約社員・派遣社員を雇う際に明示が必要となります。
変更理由も明記が必要になりますが、厚生労働省からの資料では、「勤務成績、態度により判断する」、「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載いただくことが望ましい、とされています。
どのような状況になったら切り出すのかなど、タイミングを記載していただくのが良いでしょう。
参照:厚生労働省/有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について
就業場所
就業者が「出社」する場所を記載します。最近では在宅勤務やリモートワークも当たり前になり、対応具合も反映していただけるとより親切な内容になります。勤務1年経過後から在宅勤務も相談OKなど、社内制度を記載いただいても問題ありません。
「就業場所」は労働条件通知書にも反映している項目ではありますが、2024年(令和6年)4月1日より、就業場所及び「変更の範囲」を表記する必要があります。
通勤時間は日常生活の中で大きな時間を占める場合もあるため、求人原稿には詳細に記載しましょう。
加入保険
「社会保険・労働保険の適用」など、加入保険の明記も平成29年職業安定法改正に伴い必要となっています。
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
加入保険とは、採用された際に、求職者が加入する社会保険(雇用・労災・協会or組合の健康保険・厚生年金保険)や共済、国保などを指します。厚生労働省からも労働契約書に記載し、就業者に対して明示をしなければいけない「最低限明示しなければならない労働条件など」として項目に挙げられています。
受動喫煙防止措置
令和2年4月1日より、職業安定法の改正に伴い、労働条件契約書内に「受動喫煙防止措置」の明示が求められています。明示内容については、各就業場所で講じられている受動喫煙防止措置を原稿に反映する必要があります。各就業場所の喫煙状況をご確認のうえ反映ください。
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